発明の単一性とは?
発明の単一性とは、1つの特許出願に含めることができる発明の数や内容に関する要件である。
日本の特許法では、「一の出願には一の発明(又は一定の関係にある発明)しか認められない」という原則があり、これを「単一性要件」と呼ぶ(特37条)。
技術的に所定の関係を有する複数の発明は、別々に複数の出願とするよりも、一つにまとめて出願するほうが、出願人にとっては出願手続が簡易になる。また、第三者にとっては、関連する発明の情報が効率的に入手可能となり、特許情報の利用や権利の取引が容易となる。さらに、特許庁にとっては、関連する発明をまとめて効率的に審査することができるという利点がある。こうした観点を踏まえ、特許協力条約(以下「PCT」という。)や多くの主要国の特許法では、一つの出願に複数の発明を包含することを許容する一方、その範囲として、発明の単一性の要件を規則等に規定している。
青本(工業所有権法逐条解説)・特37条
上の文は発明の単一性要件がなぜ設けられているかと趣旨である。
上とは別に、関係ない発明を5つも10も一緒くたに書いて出願し、でも1つの出願なんで、料金は1出願分でオナシャス! ……なんてやられたら困る……というのも、単一性要件が存在する理由である。
具体例
具体的に単一性要件を備える出願と、備えない出願の例を簡単に示すと、下記の通り。
良い例
【例1】「新規なインク」と、その「インクを用いた印刷方法」
→ 両者は “技術的に密接な関係” があり、一出願にまとめることができる(単一性あり)。
悪い例
【例2】「新しい電球」と「新しい自動車タイヤ」
→ 両発明には技術的関連がなく、同一出願としては認められない(単一性なし)。
審査で単一性違反と判断された場合…
発明の一部を分割出願として、改めて別個の発明として出願し直すことができる(特44条1項)。
ちなみにこの場合、その新たな出願に係る発明についても権利化したい場合、必ず「もとの出願の日から3年以内に、出願審査の請求を行う(特48条の3第1項)」必要がある。