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今の時代に商標登録を弁理士に頼む「意味」とは?

今の時代に商標登録を弁理士に依頼する意味とは?

 開業して間もないので基本的はヒマってことで、まずは現状認識ということで商標掲載公報をダラダラと見ていたんだけど。

 すごい割合スね……弁理士を介しない自己出願。調査サンプル数が200件程度なので誤差はあると思うけど、国内の商標登録出願の概ね70%はもう自己出願のようで。

 まあ、できちゃうので。確かに。特許出願はともかく商標登録「出願」ならご自分でも……そんな感じ。特許庁のHPには、かなり親切な出願手順やTipも掲載されている。情報公開は着実に進んでおりますな……。

 その上で、自己出願と弁理士を介した出願の、いちばん決定的な「違い」はなにか、ご存知だろうか?

 先に申し上げておくと、いろんな弁理士さんたちが主張されているような……

  • 「審査官に出願を通しやすくなる」だの
  • 「書類にミスが無くなる」だの
  • 「お客様は本業に集中できる(=時間を買える)」だのと……

否っ……!
こういう話ではないっ……!

弁理士・小久保真司
弁理士
小久保

 この辺りって、出願人が弁理士でなくとも、ご自分で商標法や手続をよく勉強すればある程度なんとかなる範囲ですからね……正直。

決定的な違いは「代理人欄の有無」

 ずばりいえば、コレである。(↓)

※引用商標にドラクエのロゴを選んだのは、単なる代表弁理士の趣味です。

 商標公報に代理人欄が表示される。身も蓋もない話だが、これが弁理士に商標登録を依頼することの本質的・決定的なメリットである。一方、自己出願には代理人がいないため、当たり前だけど公報に代理人も代理人欄も表示されない。

 ……読者さんのこの種の反応が目に浮かぶんですが(笑)。


 いうなれば、商標登録出願を弁理士に依頼するというのは、家の玄関にSECOMのシールを貼ったりダミーの防犯カメラを設置したり、あるいは庭で番犬を飼ったりとするのと同様、商標権という知的財産に最低限の防御手段を施しているぞと明示する行為なのである。

弁理士・小久保真司
弁理士
小久保

 ちなみに、あなたの商標とかち合わないように同一・類似の商標を上手に使おう、あるいは自らの商標登録の邪魔になっているから登録を消してしまおう……と考えるような人たちは、必ず公報(=J-platpatに載っている登録情報)を入念にチェックします。

専門家とのパートナーシップができるのもメリット

 手前味噌を承知であえていうなら、専門家(弁理士)とのパートナーシップができるのも大きなメリット。

 なぜなら、商標は出願から登録までであれば弁理士に頼らずとも簡単にできる。しかし、権利行使や他人からの攻撃への対応となったとたん、一転してややこしくなるからだ。

  • 権利としては確かに有効なのに、侵害したとされる相手に損害賠償請求を求めたところ結果的に1円も取れない。
  • こちらの商標と同じ商標を勝手に使っている他人に警告書を送ったが、「当社による貴社商標の使用は、その態様において商標権侵害を構成しない」とあっさり切り返された。当然、使用をやめてもくれない。
  • 商標権侵害について訴訟を代理してくれる弁護士が少なすぎる。いるにはいるが、着手金からして額が普通の裁判と違いすぎる。
  • 侵害者を相手取った訴訟に勝ち、商品ブランドを守ることはできたが、そのやり方が世間の反発を買ってしまった結果、企業イメージがかえって失墜した。
  • (商標権者から見た場合に)意味不明な理由で商標登録を取り消しや無効にされた。

 過去にご自身の商標を自分で出願し、登録まで持っていくことのできたお客様であっても……登録後のこういったケースについて、何がどうしてこうなるのかお分かりになる方は少ないのでは?

 商標登録を済ませ、使い始めた後に生じたトラブルについて適切に対処することまで考えると……せめて、大事な商標(=社運や人生を賭けるような商標)については、商標登録を弁理士に依頼し、パートナーシップを結んでおくのが良いと思います。

⇒ namael商標登録のサービスはこちら。