先願主義とは？
先願主義とは、同一の発明について複数人が特許出願等をした場合、最先の出願人に特許権を与えることとする原則をいう。
同一の発明について2以上の排他権が重複的に生じることを防ぐための原則であり、同じ目的で先発明主義という原則もあるが、日本は先願主義を採用している（特39条）。
先願主義と先発明主義
先発明主義は、最先の発明者を保護するため、発明を奨励する上では一見して優れているように見える。だが、発明時の立証が困難であり、権利の安定性・信頼性に欠けるとともに、発明の秘蔵化を助長する傾向がある（※）。
※なぜ、先発明主義は発明の秘蔵化を助長するのか？
先発明主義の制度下では、「自分たちが他人よりも先に発明を完成させた」という証拠さえ残しておけば、先に他人が権利化しても後出しジャンケン的に権利を取り返せる（あるいは相手の権利を無効にできる）。そのため、新しい発明が生まれたとしても、すぐに出願などせず、他の誰かが権利化を目論むまでは秘匿しておく事が最適な立ち回りとなりやすい。
対して先願主義は、先願の判断が容易であり、権利の安定性・信頼性も高いという利点がある。また、いち早く発明を開示した者を保護する点でも特許制度の目的（特1条）に適した主義といえる。
そのため、日本においては先願主義が採用されている。
