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商標登録における「区分」と「指定商品・指定役務」の違い

商標の区分と指定役務について

 商標法における「区分」と「指定商品・指定役務(えきむ。※サービスのこと)」は、商標登録において重要な概念だ。なんといっても商標登録出願時、そして登録時にかかる費用を見積もる上で必須の知識なので、しっかり理解しよう。

1.区分とは?

 「区分」は、商標が使用される商品や役務(サービス)を大きくカテゴリ分けしたもので、商標が使用される分野を整理するために設けられており、現在は第1類から第45類まである。

区分の例
  • 第9類: コンピューター、スマートフォン、(ダウンロード可能な)ソフトウェア
  • 第25類: 衣類、靴、帽子
  • 第41類: 教育、娯楽、文化活動

 ちなみに、区分の分類方法は国際分類(ニース分類)に基づいているため、基本的に世界各国で同じ体系となっている。「ビール」は日本では32類に属しているが、これがアメリカだと別の区分……といったややこしい事態にはならないってコト。

2.指定商品・指定役務とは?

 「指定商品・指定役務(えきむ)」は、商標を具体的にどの商品やサービスに使うかを詳細に指定したものだ。ちなみに、役務=サービスのことである。

 商標の保護範囲をより明確にするために、さらに具体的な商品やサービスを特定する必要があるワケだ。

指定商品・指定役務の例
  • 第9類(区分)の中で「指定商品」として「スマートフォン用アプリケーション」や「電子書籍リーダー」を選ぶ。
  • 第41類(区分)の中で「指定役務」として「オンライン学習の提供」や「コンサートの開催」を選ぶ。
弁理士・小久保
弁理士
小久保

 ちなみに、指定商品・指定役務は必ずリストに載っている通りに書けばよいのではなく、必要に応じてさらに具体的に書くこともあります。

 たとえば「八戸すたみな牛丼」という商標であれば、「青森県八戸産の牛肉を使った牛丼」といった指定商品にしないと拒絶理由通知が飛んできます。

違いを分かりやすく例えると…

 「区分」は大まかなジャンルで、スーパーマーケットの「食品」「衣類」「家電」といった売り場に似ている。

 一方の「指定商品・指定役務」はその売り場で実際に販売されている具体的な商品(例えば「冷凍ピザ」や「ドレス」)やサービス(例えば「占い、身の上相談」や「社会保険に関する手続の代理」)を指す。

商標登録の流れの中での位置づけ

 まずは、商標をどういった商品やサービスについて使用するか、具体的に決めよう。

 例:アパレルブランドをやりたい、ITサービスを展開したい、飲食店の名前として使いたい、など。

区分を選ぶ

 上の利用目的に基づいて、どの区分が適切かを検討しよう。

具体例
  • アパレルブランド → 第25類(衣類、靴、帽子)
  • ITサービス → 第9類(ソフトウェア) および 第42類(クラウドサービス、プログラミング)※1
  • テイクアウトも可能な牛丼店 → 第30類(牛丼) および 第42類(牛丼を主とする飲食物の提供)※2
弁理士・小久保
弁理士
小久保

※1 ソフトウェアはちょっと特殊で。ダウンロード可能なアプリやDVD-ROMのように商品として提供できるタイプなら第9類に該当し、WEBサービスやブラウザゲームのようにサーバーにアクセスして利用するサービスとしてのソフトウェアは第42類に属します。

 なので、WEBサービスとアプリの両方を事業展開する場合、区分は2つになります。

弁理士・小久保
弁理士
小久保

※2 飲食店は原則的に「飲食物の提供」を行うサービスなので42類に該当します。ただし、テイクアウトを行う場合、その提供物は商品なので、商品としての飲食物と飲食物を提供するサービスで、区分は2つになります。

 ただ、区分をいくつにして出願するかはあくまで任意。費用を抑えたい場合には優先順位をつけて区分数を制限するという選択ももちろん考えられます。

次に「指定商品・指定役務」を具体的に指定

 区分が決まったら、商標を使用する具体的な対象を明記していく。ちなみに、出願時や登録時の印紙代は区分の数に応じて決まるため、指定した1区分において指定商品や役務をいくつ指定しても料金的には変わらない。

ギターを掻き鳴らすサンタクロース

 ヒャッハー!! だったら区分の中にある商品を全部指定だァ! どうせ値段が同じならよォ!

弁理士・小久保
弁理士
小久保

 こういうオイタをする人には特許庁から「使用意思の証明書類」を書けという指示が飛んできます。この対応は結構面倒ですし、放っておくと出願が拒絶されるので、自分が使用する見込みのある商品やサービスを適切に指定しましょう。

出願時・登録時の料金は「区分数」で計算する

 出願時・(審査通過後の)登録時に支払う印紙代は、区分数によって決まる。

 逆にいうと、区分数が正確に定まれば商標登録出願時および登録時の費用総額は自ずと定まるので、簡易料金シミュレーターを使って確認してみよう。

最後に宣伝

商用登録出願はnamael商標登録で

 弊所に相談していただければ、区分の見積もりも正確に行えますし、そもそもあなたの商標が登録して保護を受けるだけの価値を持っているかどうかについてもアドバイスできます。